田舎暮らしと草刈り

初めて草刈り機を使ってみました。

 田舎に帰ると、いつも声をかけてくれる友人K氏がいます。

田舎に帰り、朝、4キロ離れた「道の駅」までウオーキングしていると、携帯が鳴りました。「草刈り機貸してあげるから、草刈りせんかね」K氏からです。

 ウオーキングを終えてから、すぐに彼の待つ畑に行きました。

 畑は、丘陵地にあります。私の家の畑のすぐ上が彼の家の畑で、まだ母が元気に野菜を作っていたころは、彼がよくバイクに母の収穫した野菜を積んで家まで運んでくれたそうです。

 私の家の畑は、母が耕作を止めてから何年間かは、人に頼んで草刈りをしていましたが、ここ10年は、放置したままです。畑の側には、栗や柿、梅、ゆず、キュウイなどの木やお茶の木が植えられています。その木々に葛が巻きつき、まさにジャングル状態になっていました。イノシシは、もちろん、さる、タヌキ、時には熊さえやって来て、たくさん実った果実を食べているらしいです。

 最近は、高齢化が進み、耕作する人も少なくなりました。作っている家もトタンや電気柵で畑を囲っています。 

 彼の教えてくれるままに、草刈りを始めました。刈り進めていくと、畑の中には、はっきりした「けもの道」ができていました。背丈近く伸びた畑の草を2時間ばかり刈っているとき、ふと何かの気配を感じました。見ると、近くで、イノシシの子ども一頭が遊んでいます。逃げる気配は全くありません。ちょっとしたハプニングでした。 次の日もやってくるかと期待したのですが、私の目には見えませんでした。

 結局、3日間、柿や栗の木に巻きついた葛を振りほどき、草を刈り続け、20時間の作業は終わりました。
 K氏に借りた草刈り機と消費した混合油を補充し返しに行った時、「えっ!全部刈った?体は大丈夫かね」と私の熱中ぶりに驚き、心配してくれました。
 正直、平坦な畑の草刈りはともかく、ススキや萩や櫨の木が生い茂ったのを刈ったり、葛を取り除くのは大変でした。結局、履いていた長靴が合わなかったか、長靴が作業に不適当だったのか、両足の薬指、中指の爪が割れました。そして、車のハンドルも回しにくいほど体の節々が痛みました。

 しかし、きれいに刈った畑や果樹の下を眺めると気分は爽快でした。10月には、これで栗や柿の収穫も容易にできそうです。K氏から「次帰ったら、来年のため茶の木の剪定もしよう」と言われています。また帰省してやることができました。

 身体の疲れを癒すため温泉に浸かり、家に戻った時、K氏からとれたばかりの野菜が玄関に届けられ、「明日は一緒に食事しよう」という伝言が入っていました。
 こうして田舎に帰るとK氏には何から何までお世話になりっぱなしです。