母の見舞いと田舎暮らし

 96歳の母の様子を見るため田舎に帰ってきました。
5月の末から入院し、2度目の病院に転院し、今の病院での生活も2か月が過ぎました。この病院は介護専門らしくもう転院の必要はありません。

 長い病院生活のため、手足も随分細くなり、もう寝たきり状態になってしまいましたが、流動食ながらも、口から食事もでき、頭もはっきりしてきてびっくりしています。最初の病院で飲んでいた精神安定剤を止めたこともその要因ではないかとも思われます。

 耳の遠い母との対話は、ラップの芯を母の耳にあててしますが、耳の聞こえも前よりはっきりしてきました。
 外されている入れ歯を入れてやると、ほっぺのくぼみも解消され、言葉もはっきり聞こえます。
「お寿司が食べたいねえ」「夕食はまだかねえ」と食への意欲は旺盛です。

 でも「自分の家に帰りたい!帰れるかねえ」という問いかけには、辛いものがあります。
 窓からは母の入所しているホームが見えます。せめて1日でも数年間過ごした、母のお気に入りのホームに帰れたらと思います。

 この何年か母の老いに付き合いながら、やがて誰にも訪れる、老いと生命の尊厳について考えさせられる日々が続きます。