いつもの田舎暮らし

 田舎へ帰ってきた。お茶摘みのシーズンということで、今年こそはと意気込んで帰ったのだが、ほとんど毎日雨。大雨警報まで出る始末で、結局、まともにお茶摘みができたのは、月曜日と金曜日だけだった。
 朝6時ぐらいから起き、家の近くの畑を耕す。その後、朝食をとり、9時から少し離れた畑まで茶摘みに出かける。手入れのしていない我が家の茶畑は、巻き付いたカズラを取り除きながらの作業で、結構時間がかかる。一段上の畑から、幼ななじみのK氏も奥さんと二人でお茶摘みをしている。のどかな光景である。「明日の晩おいでよ」いつもの夕食のお誘い。「わらび食べるかね。」と応えるまなく差し出されるワラビ。
そして1時頃まで黙々とお茶を摘み、彼からもらったワラビを持って家に帰える。
 家に着くと、すぐに摘んだお茶っ葉を空鍋に入れ煎る。そして竹マットの上で揉み、揉み終えた茶葉を天日干して作業が終わる。(本来ならムシロを使うのだが、竹マットは自分流で気に入っている。)お茶作りは、だれに習ったわけでもないが、子供のころよく母親に連れられて、茶摘みを手伝った記憶がある。昨年、家の庭に植えている茶を摘んで作ったのが初めてである。その時、故郷の懐かしい香りを感じた。
 遅めの昼食をとり、母のいる介護付き老人ホームまで40分かけて通う。道路脇の樹木から垂れがる藤を眺めながらのドライブ。
 金曜日は、月曜日に摘んで作った、できたての新茶を母に届けた。母は「おいしねえ」と少し懐かしそうに語った。