あたたかい人と人との絆

  [淡路黒岩水仙郷]

 まだまだ、肌寒い朝だが、外の空気は、とても快い。鳥たちがさえずり、朝の訪れを告げている。
 毎朝、NHK連続テレビ小説「てっぱん」をみるのが日課になった。大阪と尾道を舞台にしたこのドラマ、そこに登場する多彩な人々の人間らしい(強さや弱さになどの)生き様、そして、暖かい人と人との絆につい心を奪われてしまう。その場面につい涙することも少なくない。人間関係が希薄になり、つい他人のことに無関心になってしまったような今の時代だが、”暖かい人と人の絆”をやはり求めているのかも知れないと思う。
 月一週間、山口の実家で過ごす私にとって、いつも心強く感じる友人がいる。K氏である。家の前に駐車している、私の車を見つけては、いつも顔を出してくれる。「○○ちゃん元気かね。いつ帰えったんかね?野菜あるけど持ってこうか。」そう言っては、いつも、自分が丹誠込め作った野菜を差し入れてくれる。夫婦ともに、小、中、高と一緒に育った幼なじみである。私の”こんにゃく作りの師匠”でもある。
 今年、高校の校長を退職し、今は、夫婦仲良く、野菜作りを楽しんでいる。夕食にお呼ばれすることも度々で、地元にいる友人を集めては”ミニ同窓会”も企画してくれる。
 60すぎの男が、「○○ちゃん」「●●ちゃん」と交わす光景は、妻や子供たちにとっては奇異に映るらしい。田舎に暮らすと煩わしさも確かにあるが、未だに残っている、こんな田舎の暖かさを、私は感じながら、誰も住んでない実家で一週間を暖かく過ごしている。