ネコ物語:”クー”のお話



 今朝も、5時、「クー」に起こされて餌をねだられました。体重が10キロ近い、真っ黒なアメショーの13才の雄ネコです。泣かない代わりに、「はやく起きてよ」と言わんばかりに、何度も執拗に私の頭や顔を触ってきます。ここからは根気比べですが、いつも私の負けです。 
 元々、クーは、ちょっと預かりの居候ネコだったのですが、我が家の居心地がよくて、住み着いてしまいました。
 寝ているとき以外は、ずっと私の後をついてくるネコで、真っ黒な顔からは、なかなか表情が読みとれません。
 預かってすぐに、突然姿を消したことがあります。頭のいいネコで、引き戸であれば、自由にあけることができることを私が知らなかったのです。近くの公園や、いろんなところを探しましたが見つかりません。
 5日ほどして、娘が、外からサッシを開けるクーを発見しました。家の中にいる他のネコたちに威嚇されてなかなか入れなかったようです。
 ネコも、時々開放感を求めて、外に出たいらしく、その後も、何度も脱出を試みます。余程のことがなければ、声を出して泣きませんが、口を開いて何かを要望するような仕草をします。動作がゆったりしているので、最近は、私が花の手入れをしているときは、庭に出してやります。
 そんなクーにも、一番怖い存在があります。我が家の元々の住人、ピッキーです。ピッキーに威嚇されたり、ネコパンチされると、まるで嫁さんにしかられた旦那のように、目立たぬように、姿勢を低くしてその場から退散します。クーにすれば笑い事ではありません。大変なプレッシャーですが、端で見ているとおかしくなります。
 我が家には、クーを含め5匹の愛ネコがいます。それぞれ、性格も、食の嗜好もすべて違います。共通していることは、どのネコも自分中心的で焼き餅焼きです。人間によく似ています。特に、我が家の女王”ピッキー”にとっては、クーの存在が容認できません。